多くの学生にとって敬語とは、とりあえず「です・ます、をつけておけば何とかなる」「マニュアルを覚えてしまえばアルバイト先でも困らない」といった程度の物かもしれません。しかし、就活期間中は正しい敬語を使う場面が多々出てきます。
学生生活では砕けた言葉遣いでも問題無いので、敬語の使い方が分かっていない人も多いですが「学生だから敬語が使えない」という事実は、就活において大きなマイナスポイントといえます。「敬語ができないのは教養やマナーに問題があるのでは」といった評価を受ける可能性も有ります。
面接官が親切に、「敬語の使い方を間違えている」などと教えてくれる事などありえません。面接までに敬語の使い方をしっかり習得しておきましょう。
敬語には、
○丁寧語:接頭辞「お・ご」をつけたり、接尾語の「です・ます」を使うもの
○尊敬語:相手を自分より持ち上げ、相手の動作や言動を丁寧にしたもの
○謙譲語:自分を相手より下に置き、自分の動作等を丁寧に表現した物
の三種類があります。
この中で最も難しいのは尊敬語と謙譲語の使い分けです。例えば「言う」という動作の尊敬語は「おっしゃる」ですが、謙譲語だと「申し上げる」という表現になります。面接等で相手から質問された内容を返す場合など自分と相手の立場を考え、尊敬語を使うか謙譲語を使うべきかを判断して選ぶ事が大切です。
尊敬語と謙譲語を混同していると、「先ほど、Aさんが申し上げられた事について」などと言った形で誤用してしまいます。
見る・聞く・行くなど、大抵の動作には尊敬語と謙譲語の両方が存在しているので、「主語が自分であれば謙譲語、主語が相手なら尊敬語」と覚えておくと良いでしょう。
同じ意味の敬語を二つ以上使う二重敬語は、古典の世界で高貴な方に対する敬意を表す時のみ使用できる表現です。しかし語感の良さや勘違いなどから、現代でも無意識のうちに二重敬語を使ってしまう人も少なくありません。
例えば、「させていただく」という表現は、自分を下に置く謙譲語です。これに、「見る」の謙譲語「拝見する」を組み合わせて「御社のホームページを拝見させていただきました。」と表現してしまうと、二重敬語になってしまいます。正しい言い回しとしては、「拝見いたしました」となります。
面接など、緊張する場面では二重敬語のミスが出やすいため、心配な人は就活でよく使う敬語を、一覧表にして丸暗記してしまうと良いでしょう。就活で使う敬語表現は、就職後も日常的に使いますので、覚えておいて損はありません。
正しい敬語を使うためには、相手と自分の立場を考え、適切な表現を選ぶスキルや慣れが求められます。実は「了解しました」「ご苦労様でした」といった一見失礼に当たらなさそうな表現も、使う相手によっては、失礼に当たる可能性がありますので注意が必要です。
「了解しました・ご苦労様です」は諸説あるものの、一般的には同僚や後輩に対して使う表現とされています。上から目線だと捉えられてしまうので、説明会のスタッフや面接担当者など、目上の立場の人には使わないように注意しましょう。
学生の中には、「社会人全員が正しい敬語を使えている訳ではないのに、そこまで気にする必要があるのか」と考える人もいるかもしれません。しかし、世の中には敬語の誤用を気にする人も少なからず存在します。社会に出てから、無暗に周囲の人と衝突する必要はありません。敬語は、年齢・経験・考え方の異なる相手と、円滑なコミュニケーション取るために必要な、一種の防衛手段と言えます。使い慣れていないと、思わぬ所で敬語が乱れてしまいますので、就活中は敬語を使う機会を増やし、正しい使い方を訓練しておくとよいでしょう。
ただ、就活で敬語というスキルを活かすためには、書類選考を突破し面接まで進む必要があります。書類上の第一印象を良くする為にも、履歴書の証明写真はぜひ写真館で撮影するようにしましょう。